心療内科 レジデントマニュアル

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神経性食欲不振症患者の外来治療において3つの心理療法の有効性は同等の効果

神経性食欲不振症の診療においては、全身状態管理もさることながら、根治的なアプローチとして心理療法の必要性は常日頃から痛感される。その有効性についての検討は興味深い。

 

摂食障害患者外来において、精神力学的な治療法と認知行動療法、従来の効果的な療法における無作為比較化試験について    Lancet 2014;383:127-37

 

Focal psychodynamic therapy, cognitive behaviour therapy, and optimised treatment as usual in outpatients with anorexia nervosa(ANTOP study):randomized controlled trial

Stephan Zipfel, Beate Wild, Gaby Groβ, Hans-Christoph Friederich, Martin Teufel, Dieter Schellberg, Katrin E Giel, Martina de Zwaan, Andreas Dinkel, Stephan Herpertz, Markus Burgmer, Bernd Lowe, Sefik Tagay, Jorn von Wietersheim, Almut Zeeck, Carmen Schade-Brittinger, Henning Schauenburg, Wolfgang Herzog on behalf of the ANTOP study group

 

背景

 心理療法は神経性食欲不振症患者の治療選択肢の一つであるが、その効果に対するエビデンスが不足している。The Anorexia Nervosa Treatment of OutPatients (ANTOP)試験の目的は、二つの神経性無食欲症に対するマニュアル化された外来治療法――焦点化精神力動療法と、強化認知行動療法の安全性と効果を、従来治療と比較して評価することである。

方法

 ANTOP試験の報告は成人神経性食欲不振症患者を対象とした多施設無作為比較化試験である。ドイツの10の大学病院から患者を登録した。参加者は無作為に、10ヶ月の焦点化精神力動療法、強化認知行動療法、もしくは従来治療(外来精神療法と家庭医による構造化されたケアを含む)に割付けられた。主要評価項目は、治療終了時点でのBMIの増加量で測定された、体重増加であった。重要な副次評価項目は、体重増加と摂食障害に特異的な精神病理の組み合わせに基いて評価した、回復率である。解析はITTで行われた。

結果

 727人がスクリーニングされ、242人が80人;焦点化精神力動療法、80人;強化認知行動療法82人;従来治療に無作為割付された。治療終了時点で54人(22%)が追跡不可となり、フォローアップの治療終了12ヶ月時点では73人(30%)が脱落していた。治療終了時点では、全ての群でBMI増加がみられ(焦点化精神力動療法 0.73kg/m2、強化認知行動療法 0.93kg/m2、従来治療 0.69kg/m2)、群間で有意差は認めなかった。治療終了12ヶ月後の追跡では、BMI増加の平均値が更に上がったが(1.64kg/m2、1.30kg/m2、1.22kg/m2)、群間で有意差は認めなかった。体重減少や試験への参加による、深刻な有害事象は認めなかった。

解釈

 家庭医による精神療法と構造化されたケアを組み合わせた従来治療は、成人神経性食欲不振症の外来患者に対するベースの治療と考えられるべきである。焦点化精神力動療法は治療終了12ヶ月時点での回復に関して利点が示され、強化認知行動療法は体重増加や摂食障害の精神病理の改善の速度に関しては、より効果的と考えられた。今後の長期結果は、これらの新規のマニュアル化された治療法のさらなる適応と改善に有用であると考えられる。

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