心療内科 レジデントマニュアル

心身医学・心療内科についての正しい理解を広めていきたいと思います。

心身症とは

まずは以下の問題を考えてみてください。

 

心身症」について以下の選択肢のうち、正解の選択肢を選べ(複数回答可)

1)うつ病

2)不安障害

3)1)2)以外の精神疾患

4)病気ではないが、ややこしい患者

 

少し意地悪な問題を出題しましたが、これらの選択肢のどれもが正解ではありません。

 

心身症とは、「身体疾患のなかで、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など、他の精神疾患に伴う身体症状は除外する」(日本心身医学会より)

つまり、独立した疾患単位ではなく、各診療科や各器官における疾患のなかで定義の条件にあてはまるものをいいます。

 

よって、この問題の選択肢は、下記の3つの意味で間違っています。

1)精神疾患である

2)病態ではなく病名

3)病気・患者ではない

 

ただ、この定義がわかりにくいのも事実です。なので、以下に少し噛み砕いて記載します。

「性格や環境要因が発症因子・持続因子となっている、器質的and/or機能的障害を有する身体の病態」

 

鋭い読者の方には、「ああ、学校(会議)に行くときお腹をこわすやついたなー」と思いだされた方がいると思います。「自分もそうだったな」と思われる方もいるかもしれません。

 

 

しかし、「環境要因が病態の原因なんて、科学的ではない」という意見もあると思います。

そこで、いくつか最新のエビデンスを示したいと思います。

1つ目はがんに関するものです。これは日本の研究ですが、喫煙、肥満、過度な飲酒が、がんの発症リスクを高める1)といった報告があります。これらの生活集荷の乱れに何らかのストレスが関連している可能性もありますし、そもそも、こういった生活習慣も環境要因といってよいかと思います。

2つ目は痛みに関するものです。社会的疎外感がPain networkの背側前帯状皮質を活性化するといった研究2)ですが、疼痛を主訴に訴えられる患者さんは、社会的疎外感を含む痛みの悪循環に陥っている方が多いと思います。

 

ただ、心身医学の分野はまだまだエビデンスの集積が不足しており、今後も研究を重ねていくことが欠かせません。

 

まとめとして、心身症とは「性格や環境要因が発症因子・持続因子となっている、器質的and/or機能的障害を有する身体の病態」であると言えます。

 

1) Tanaka S, et al. Projecting the probability of survival free from cancer and cardiovascular incidence through lifestyle modification in Japan. Prev Med, 48(2): 128-33, 2009

2) Lieberman MD, et al. Pains and Pleasures of Social Life.Science. 323(5916):890-891.

2009

 

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「心身医学標準テキスト第3版より引用」

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