心療内科 レジデントマニュアル

関西の有志の心療内科医によるブログです。心身医学・心療内科についての正しい理解を広めていきたいと思います。

心療内科とは?

心療内科は「内科医が患者さんの心と体を分けずにそのつながりを含めて、全人的な視点で診療を行う科」です。そして、心療内科が専門とする疾患は心身症になります。例を挙げますと、会社の上司に言いたいことが言えずストレスがたまり、朝になると腹痛・下痢がある過敏性腸症候群(心身症)の患者さんに対して、適切な自己主張の方法とリラックス法を学んで頂き、症状の自己コントロールを身に着けてもらうような治療を行います。

 

 よく患者さんからも医療者の方からも精神科のとの違いがわからないという質問を受けます。精神科ではいわゆる心の病を診ますが、心療内科では心理社会的な背景から体に症状が出る内科疾患の診療を行います。したがって統合失調症などは心療内科で診ることはありません。

 

 一方で2つの科の区別を難しくしている背景がいくつかあります。1つ目は、心療内科を標榜している多くの医師が精神科医であること。つまり本来の心療内科医の方がマイノリティなのです。2つ目は、心療内科医も実際には精神科医が診るうつ病双極性障害強迫神経症を診ることがあるとうことです。このような疾患でも身体症状が全面に出ることがあることから、厳密な線引きができないのが現状です。また、一般病院で精神科がなく、心療内科しかない場合には精神科の役割を担わなければならない場合もあります。

 

 

 また、上記のような心療内科の患者さんの捉え方は家庭医と近いのかもしれません。ここでもいくつかの違いがあるように思います。一つ目は心療内科医は患者の心の動きだけではなく、自分自身の心の動き、患者と自分との関係性を見つめながら診療を行います。また、患者さんを診る時に、病を持った人がどうなればいいのかという視点が強いと思います。例えば、心因性咳嗽の患者さんの咳嗽が、患者さんの非常に深刻な心理社会的なストレスへの直面化を避けるための手段であるとアセスメントすれば、症状軽減を目指すのではなく、症状は残したまま、その患者さんが日常生活を維持できるようなサポートに徹することもあります。このあたりの詳しい話はおいおい書いていきたいと思います。

 

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